雨漏り・老朽化した家、修繕して売るか現況で売るかの見極め
雨漏りや老朽化がある家では、修繕費と売却条件を切り分けて検討する必要があります。建物状況調査の位置づけ、告知・契約書面での確認、契約不適合責任と譲渡所得上の費用の扱いを整理します。
📑 目次
ミナさん相続した1軒の実家なんです。雨漏りもあって古いです。直してからでないと、売る相談はできないと思ってました。
リク修繕費をかけても、その分だけ売値に戻るとは限らないですよね?
タケさんうん。結論から言うと、先に直すかは状態を見てから決めればいいんだよ。穴の空いた傘を直すように、まず穴の場所を確かめるって話。
ミナさんでも、古いまま見せたら買う人に断られそうで不安で…。
タケさん直さずに売る相談もできるよ。ただし、知っている雨漏りを隠していいわけじゃない。見えている傷を布で覆うのとは違うんだよね。
リクでは、修繕の前に状態を整理して、調べるかどうか決める順番ですね?
修繕費が売値に戻るとは限らない
雨漏りや老朽化した家では、「直せば高く売れるはず」と考えやすいものです。しかし、修繕費をいくらかければ売却額がいくら上がるかは、一律には言えません。費用をかけたのに回収できない、いわゆる費用倒れになる不安が残ります。
税金の計算でも、支出の扱いは分かれます。土地・建物の譲渡所得は、売却額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。取得費には設備費や改良費が含まれます。一方で、譲渡した資産の修繕費や維持・管理費は、譲渡費用には含まれません。
雨漏りの工事費が修繕費か改良費かは、工事の中身や証拠書類を見て判断する話です。レシートを1枚の箱に入れるより、工事内容が分かる書類を分けて残すほうが、後で確認しやすいでしょう。税務上の扱いは、税務専門家または税務署へ確認します。
売れないと言われた物件でも、相談はできます。再建築不可・残置物あり・長年の放置もそのままでどうぞ。相談は無料です。
無料で相談してみる修繕を決める前に状態を共有する流れ
ミナさん建物状況調査って何ですか? 調査をしないと売れないんですか?
タケさん建物状況調査は、基礎や外壁を見て、雨漏りなどの傷みがあるか調べるものなんだよ。健康診断みたいなものだね。必ず受けるものではない。
リク調査で問題がなければ、雨漏りがないと保証できるってことですか?
タケさんそこは違うんだ。調査は、傷みがないことを保証する制度じゃない。分かる範囲を確認するものなんだよね。
ミナさん現況のまま売るなら、責任も全部なくせるんですか? 契約不適合責任って何ですか?
タケさん契約不適合責任は、約束した品質などに合わないときの売主の責任って話。現況のままという言葉だけで、責任の範囲を決めないことが大事なんだよ。
契約不適合責任は言葉だけで片付けない
契約不適合責任とは、引き渡した家が契約内容に合わない場合の責任です。民法第562条では、買主は修補などを求められると定めています。修補とは、契約内容に合うよう直すことです。民法第563条では、一定の手順を経た代金減額の請求も定めています。
民法第564条では、損害賠償請求や契約解除にも一般のルールを適用するとしています。種類または品質に関する不適合は、買主が知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、原則として請求などができません。ただし、売主が引渡し時に知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この通知に関する制限は適用されません。
民法第572条では、売主が責任を負わない特約をしていても、知りながら告げなかった事実については責任を免れられないと定めています。個人間売買でどこまで責任を限定できるかは、特約、売主が知っていた事実、説明と確認の経緯などで変わります。雨漏りをどう扱うかは、契約ごとに確認が必要です。
既存住宅で不動産業者が間に入る売買では、建物状況調査の結果の概要にある劣化等の有無は、重要事項として宅地建物取引士から説明されます。宅地建物取引士は、売買の大事な内容を説明する資格者です。また、専門家による調査結果の概要や、双方が確認した事項を契約書面に記載する仕組みがあります。告知書の内容でも、双方が客観的に確認し、価格交渉や責任の扱いに反映した場合は、記載できるとされています。
修繕せずに進める場合は、見えている状態を並べ、調査結果があればその内容も共有し、契約の約束に落とし込む流れです。値札だけを先に付けるのではなく、中身を見える形にしてから話し合うイメージです。
✅ 修繕を決める前の確認チェックリスト
- 把握している雨漏りの場所と時期を言えるか
- 修繕した箇所と工事内容の書類があるか
- 建物状況調査を行うか、その理由も決めたか
- 調査結果の概要を双方で確認する段取りがあるか
- 契約不適合責任に関する特約を個別確認したか
- 売却額から差し引く費用の扱いを確認したか
直すかどうかは、状態を並べてから決める
まとめると、雨漏りや老朽化があるからといって、先に修繕すると決める必要はありません。修繕費が売却額にどう影響するかは一律ではなく、税務上の扱いも工事内容によって異なります。
現況のまま進める場合でも、把握している状態を整理し、必要に応じて建物状況調査を検討します。その上で、双方が確認した事項と契約不適合責任の扱いを、個別の契約内容として確かめることが重要です。
ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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