空き家解体の補助金|申請方法と活用事例
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空き家解体の補助金|申請方法と活用事例
全国の多くの自治体では、空き家解体に対する補助金制度があり、解体費用の半分~全額を補助してくれるケースもあります。
しかし、補助金制度は自治体ごとに条件が異なり、申請手続きも複雑です。知らないと損をする情報がたくさんあります。
本記事では、空き家解体の補助金について、補助額の相場、申請条件、必要書類、申請の流れから実際の活用事例まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。
1. 空き家解体補助金とは
空き家解体補助金とは、老朽化した空き家の解体費用を自治体が補助する制度です。空き家の増加による防災、防犯、衛生上の問題を解決するため、国と自治体が協力して推進しています。
補助金制度の目的
- 倒壊リスクの軽減:老朽化した空き家の倒壊による被害を防ぐ
- 防犯対策:空き家への不法侵入、放火、犯罪の温床を防ぐ
- 景観の改善:地域の景観を守り、住環境を向上させる
- 土地の有効活用:解体後の土地を再利用しやすくする
- 空き家問題の解消:空き家の総数を減らす
実施している自治体数
補助金額
全額補助も
補助金の種類
空き家解体の補助金には、大きく分けて以下の3種類があります。
| 補助金の種類 | 対象となる建物 | 補助額の目安 |
|---|---|---|
| 特定空家等 解体補助金 |
特定空家に指定された建物、または指定される可能性が高い危険な建物 | 50万円~150万円 (解体費用の50~100%) |
| 老朽危険家屋 解体補助金 |
築30年以上で、倒壊の危険性がある建物 | 30万円~100万円 (解体費用の30~80%) |
| 一般空き家 解体補助金 |
1年以上空き家になっている建物 | 20万円~50万円 (解体費用の20~50%) |
💡 自治体によって大きく異なる
補助金制度の内容は自治体ごとに大きく異なります。ある自治体では全額補助してくれるのに、隣の自治体では制度自体が存在しないこともあります。
まずは、物件がある自治体の制度を調べることが第一歩です。
2. 補助金額の相場
空き家解体の補助金額は、自治体や建物の状態によって大きく異なります。
一般的な補助額の相場
| 自治体の規模 | 補助率 | 上限額 | 実際の補助額(例) |
|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 50~80% | 50万円~150万円 | 解体費用150万円の場合 → 補助金75万円~120万円 |
| 中核市 | 30~50% | 30万円~100万円 | 解体費用150万円の場合 → 補助金45万円~75万円 |
| 市町村 | 20~50% | 20万円~80万円 | 解体費用150万円の場合 → 補助金30万円~75万円 |
| 過疎地域 | 50~100% | 50万円~300万円 | 解体費用150万円の場合 → 補助金75万円~150万円 |
✅ 高額補助が期待できる自治体の特徴
- 過疎地域:人口減少が著しい地域では、補助率が高い
- 空き家率が高い:空き家問題が深刻な自治体ほど手厚い
- 財政に余裕がある:都市部でも財政状況が良ければ高額補助
- 特定空家に指定済み:行政からの指導を受けた物件は補助率が高い
全国の主要都市の補助金例
| 自治体 | 補助率 | 上限額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 東京都世田谷区 | 50% | 150万円 | 旧耐震基準の木造建築 |
| 大阪市 | 50% | 50万円 | 1年以上の空き家 |
| 名古屋市 | 80% | 100万円 | 特定空家または危険家屋 |
| 横浜市 | 50% | 50万円 | 倒壊の危険がある建物 |
| 福岡市 | 50% | 60万円 | 老朽危険家屋 |
⚠️ 補助金には予算枠がある
多くの自治体では、補助金の予算に上限があり、先着順です。予算が尽きると、年度内に申請しても補助を受けられません。
また、人気の高い制度は募集開始から数週間で予算が埋まることもあります。早めの申請が重要です。
3. 補助金の申請条件
補助金を受けるには、自治体が定める条件を満たす必要があります。条件は自治体によって異なりますが、一般的な条件は以下の通りです。
対象となる建物の条件
✓ 一般的な建物の条件
- 空き家であること:6ヶ月~1年以上、誰も居住していない
- 老朽化していること:築30年以上、または倒壊の危険性がある
- 所有権が明確:所有者が確定しており、登記されている
- 自治体内に所在:申請する自治体の区域内にある
- 住宅であること:店舗や事務所は対象外の場合が多い
- 他の補助金を受けていない:同じ建物で他の解体補助を受けていない
対象となる人の条件
✓ 申請者の条件
- 建物の所有者:登記簿上の所有者、または相続人
- 税金の滞納がない:市町村税を滞納していないこと
- 暴力団関係者でない:本人および同居家族が暴力団員でないこと
- 自治体内に住民票がある(自治体によっては不要)
- 過去に補助金の不正受給がない
対象となる工事の条件
✓ 解体工事の条件
- 建物全体を解体:一部解体は対象外
- 登録業者が施工:建設業許可または解体工事業登録のある業者
- 適切な廃棄物処理:マニフェストを提出できること
- 期限内に完了:多くの場合、年度内(3月末まで)に完了
- 申請前に着工していない:補助金申請前に工事を開始すると対象外
⚠️ 工事開始前に必ず申請!
補助金申請前に解体工事を開始すると、補助対象外になります。これは最も多い失敗パターンです。
「とりあえず解体してから申請しよう」は絶対にNGです。必ず申請→承認→着工の順序を守りましょう。
4. 必要書類
補助金申請には、多くの書類が必要です。自治体によって異なりますが、一般的な必要書類は以下の通りです。
申請時に必要な書類
| 書類名 | 取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 補助金交付申請書 | 自治体窓口またはHP | 自治体指定の様式 |
| 建物の登記事項証明書 | 法務局 | 3ヶ月以内のもの |
| 固定資産税納税証明書 | 市町村役場 | 滞納がないことの証明 |
| 建物の写真 | 自分で撮影 | 外観、内部、周辺環境 |
| 位置図・配置図 | 自分で作成 | 住宅地図に建物を記入 |
| 解体工事見積書 | 解体業者 | 内訳が明記されたもの |
| 解体業者の許可証写し | 解体業者 | 建設業許可または解体工事業登録 |
| 誓約書 | 自治体窓口またはHP | 暴力団関係者でないこと等 |
| 住民票 | 市町村役場 | 自治体によっては不要 |
| 相続関係説明図 | 自分で作成 | 相続物件の場合 |
工事完了後に必要な書類
| 書類名 | 取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 実績報告書 | 自治体窓口またはHP | 自治体指定の様式 |
| 解体工事契約書の写し | 自分で保管 | 業者との契約書 |
| 領収書の写し | 解体業者 | 支払いの証明 |
| 工事完了写真 | 自分で撮影または業者 | 解体前後の比較写真 |
| マニフェスト(産廃処理票) | 解体業者 | 適正な廃棄物処理の証明 |
| 建物滅失登記証明書 | 法務局 | 登記を抹消した証明 |
💡 書類準備のポイント
- 早めに準備:登記事項証明書など、取得に時間がかかるものがある
- コピーを取っておく:提出前に必ずコピーを取る
- 写真は多めに:建物の状態がわかる写真を複数枚撮影
- 自治体に確認:不明な点は必ず自治体に問い合わせる
5. 申請の流れ
補助金申請から補助金受取までの流れを、ステップごとに解説します。
補助金申請の流れ(標準的なケース)
自治体のHP、または窓口で補助金制度の有無と内容を確認。募集期間、予算残高もチェック。
複数の解体業者に見積を依頼し、業者を選定。許可証の写しをもらう。
登記事項証明書、固定資産税納税証明書などを取得。建物の写真撮影。
自治体の窓口に必要書類を提出。不備がないか確認してもらう。
自治体が申請内容を審査。現地調査が行われることもある。
補助金の交付が決定すると、自治体から通知が届く。
業者と正式に契約し、工事を開始。※交付決定前の着工は補助対象外!
工事が完了したら、業者から領収書とマニフェストを受け取る。
法務局で建物の登記を抹消する手続き。土地家屋調査士に依頼することが多い。
工事完了写真、領収書、マニフェスト、滅失登記証明書などを提出。
自治体が実績を確認し、補助金額を確定。
指定口座に補助金が振り込まれる。
合計期間:申請から補助金受取まで3~6ヶ月程度
⚠️ 注意すべきポイント
- 予算の確認:年度途中で予算が尽きることがあるため、早めに申請
- 工事期限:多くの自治体で年度内完了が条件。年度末に申請すると間に合わない
- 補助金は後払い:工事費用は一旦全額立て替える必要がある
- 申請取り下げ不可:交付決定後に工事をキャンセルすると、ペナルティを受けることも
6. 実際の活用事例
補助金を活用して空き家を解体した実際の事例を紹介します。
事例1:特定空家指定物件の全額補助(過疎地域)
所在地:長野県某村(過疎地域)
築年数:築60年、木造2階建て
状態:屋根が一部崩落、倒壊の危険性あり
解体費用:180万円
補助金制度:特定空家等解体撤去補助金
補助率:100%
補助額上限:200万円
実際の補助額:180万円(全額)
所有者のコメント:「特定空家に指定される前に自治体に相談したところ、全額補助の制度があることを知りました。実質負担ゼロで解体できて、固定資産税の負担からも解放されました。早めに相談して本当に良かったです。」
事例2:老朽危険家屋の解体(都市部)
所在地:東京都世田谷区
築年数:築45年、木造平屋
状態:経年劣化が進み、外壁が剥がれている
解体費用:250万円
補助金制度:老朽建築物除却助成
補助率:50%
補助額上限:150万円
実際の補助額:125万円(50%)
費用内訳:
- 解体費用:250万円
- 補助金:△125万円
- 実質負担:125万円
所有者のコメント:「都内でも半額補助が受けられると知り、すぐに申請しました。実質半額で解体できたので、売却もスムーズに進みました。補助金があるのとないのとでは大違いです。」
事例3:相続した空き家の解体(地方都市)
所在地:広島県某市
築年数:築35年、木造2階建て
状態:長年放置、雑草が生い茂っている
解体費用:160万円
補助金制度:空家等除却支援事業
補助率:40%
補助額上限:80万円
実際の補助額:64万円(40%)
費用内訳:
- 解体費用:160万円
- 補助金:△64万円
- 実質負担:96万円
所有者のコメント:「父が亡くなり、実家を相続しましたが、誰も住む予定がなく解体を決意。補助金制度を知らずにいましたが、市役所に相談したら教えてもらえました。64万円も補助が出たので、大幅に負担が減りました。知らないと損をするところでした。」
7. 補助金を受けられなかった失敗事例
補助金申請で失敗しないよう、よくある失敗事例も紹介します。
失敗事例1:工事を先に始めてしまった
❌ 失敗の内容
「早く解体したかったので、先に業者に依頼して工事を開始。後から補助金を申請しようとしたら、『着工前に申請が必要』と言われ、補助対象外になってしまった。」
教訓:必ず申請→承認→着工の順序を守る。急いでいても、補助金申請を優先すべき。
失敗事例2:予算が尽きていた
❌ 失敗の内容
「年度末の2月に申請したところ、『今年度の予算は既に上限に達している』と言われ、補助を受けられなかった。来年度まで待つ余裕もなく、自己負担で解体することに。」
教訓:補助金には予算枠があり、先着順。年度初め(4月~5月)に申請するのがベスト。
失敗事例3:条件を満たしていなかった
❌ 失敗の内容
「空き家期間が6ヶ月だったが、自治体の条件では『1年以上の空き家』が対象だった。条件を確認せずに申請してしまい、却下された。」
教訓:自治体の条件を事前にしっかり確認する。不明な点は窓口で確認してから申請。
8. 補助金以外の費用削減方法
補助金が受けられない場合や、補助額が少ない場合でも、解体費用を抑える方法があります。
複数業者から相見積もりを取る
解体費用は業者によって大きく異なります。最低3社以上から見積を取り、比較しましょう。
見積もり比較の例:
- A社:250万円
- B社:180万円
- C社:210万円
→ 最安値と最高値で70万円の差!
自分でできることは自分でやる
- 残置物の処分:家具や家財を事前に自分で処分すれば、解体費用が安くなる
- 雑草の除去:敷地内の雑草を刈っておくと、作業がスムーズ
- 不要な設備の撤去:エアコンや給湯器を自分で取り外す
解体のタイミングを選ぶ
解体業者の繁忙期(2~3月、9~10月)を避けると、若干安くなることがあります。
9. よくある質問(Q&A)
Q1:補助金を受けるには、どこに相談すればいいですか?
A:物件がある市町村役場の空き家対策担当課に相談してください。多くの自治体では、「空き家対策課」「住宅課」「建築指導課」などが窓口です。
自治体のHPで「空き家 解体 補助金」と検索すると、制度の有無や申請方法が掲載されています。
Q2:相続した空き家でも補助金を受けられますか?
A:はい、相続した空き家でも補助金を受けられます。ただし、相続登記が完了していることが条件の場合が多いです。
相続登記が未了の場合は、まず相続登記を完了させてから申請しましょう。
Q3:補助金はいつもらえますか?
A:補助金は工事完了後、実績報告書を提出してから1~2ヶ月後に振り込まれます。工事費用は一旦全額立て替える必要があるため、資金計画に注意してください。
Q4:建物の一部だけ解体しても補助金は受けられますか?
A:いいえ、建物全体の解体が条件の自治体がほとんどです。一部解体や改修は補助対象外です。
Q5:解体後、すぐに売却しても大丈夫ですか?
A:基本的には大丈夫ですが、自治体によっては「解体後○年間は売却・譲渡禁止」という条件がある場合があります。事前に確認してください。
まとめ
空き家解体の補助金は、知っているか知らないかで数十万円~100万円以上の差が出ます。
📌 重要ポイントのまとめ
- 全国の自治体で補助金制度がある:まずは自治体に確認
- 補助額は20万円~全額:自治体や物件の状態によって異なる
- 条件をしっかり確認:空き家期間、建物の状態、所有権など
- 工事前に必ず申請:着工後の申請は補助対象外
- 予算には上限がある:早めの申請が重要(年度初めがベスト)
- 補助金は後払い:工事費用は一旦立て替える
- 相見積もりを取る:解体費用は業者によって大きく異なる
- 相談は無料:自治体の窓口で気軽に相談できる
「解体費用が高すぎて手が出せない」と諦めていた人も、補助金を活用すれば大幅に負担を軽減できます。まずは自治体の窓口に相談してみましょう。
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❓ よくある質問(FAQ)
空き家を売却する際に必要な書類は何ですか?
空き家を売却する際には、以下の書類が必要です:
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 建物の図面や測量図
- 身分証明書
査定にはどのくらいの時間がかかりますか?
通常、現地調査を含めて1〜3営業日で査定結果をご報告いたします。お急ぎの場合は、最短即日での査定も可能です。