土砂災害防止法とは?重説で説明すべきイエロー・レッドゾーンの建築制限
土砂災害防止法の目的と、イエローゾーン・レッドゾーンの制度上の違いを整理。重説で確認すべき警戒区域の説明、レッドゾーンの特定開発行為・建築物構造規制、指定資料の調査方法を解説します。
📑 目次
ミナさん区域図を前にして、第6条の土砂災害警戒区域土砂災害のおそれがある区域として都道府県が指定した区域(通称イエローゾーン)。重説では区域内かどうかの説明が必要です。に当たるのかを説明されても、一般の方は何を確認すればよいのか迷いますよね。
リクイエローゾーンなら建築できず、レッドゾーン土砂災害で建物が損壊し住民に危険が及ぶおそれが特に高い区域(通称レッドゾーン)。開発や建築の構造に規制がかかります。ならさらに危険、という理解だけで進めると心配です。
タケさんまず、区域の名称と指定状況を分けて確認するのが大事なんだよ。イエローゾーンとレッドゾーンじゃ、土砂災害防止法上の仕組みは同じじゃないんだ。
土砂災害防止法の目的と区域指定の考え方
土砂災害防止法の正式名称は、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」です。同法は、土砂災害のおそれがある土地の区域を明らかにし、警戒避難体制を整備するとともに、著しい土砂災害のおそれがある区域で一定の開発行為を制限し、建築物の構造規制等を定めることを目的としています。
国土交通省は、土砂災害警戒区域をイエローゾーン、土砂災害特別警戒区域をレッドゾーンとして案内しています。レッドゾーンは、警戒区域のうち、一定の開発行為の制限と居室を有する建築物の構造規制をすべき区域として指定できるものです。
重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。(重説)では、売買・交換・貸借の対象である宅地または建物が、土砂災害警戒区域内にあるか否かを消費者に確認させるための説明が求められます。区域名だけで判断せず、対象地と指定図書を照合することが出発点です。
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無料で相談してみる土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域の整理
| 区域 | 土砂災害防止法上の整理 |
|---|---|
| 土砂災害警戒区域(イエローゾーン) | 危険の周知および警戒避難体制を整備する区域 |
| 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン) | 特定開発行為の許可制および建築物の構造規制がある区域 |
| 両区域の関係 | 土砂災害特別警戒区域は、土砂災害警戒区域のうち指定できる区域 |
リクイエローゾーンに指定されていれば、建築は一律に禁止されるということですか。
タケさん土砂災害防止法上は、その理解にはならないんだよ。イエローゾーンでは警戒避難体制の整備等が定められていて、レッドゾーンの特定開発行為の許可制や構造規制と同じ制度じゃないんだ。
ミナさんでは、イエローゾーンの建築制限を説明するときは、一律の建築禁止と受け取られないように、区域の制度を分けて伝える必要があるのですね。
イエローゾーンの建築制限は「一律の建築禁止」ではない
土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊等が生じた場合に、住民等の生命・身体に危害が生ずるおそれがある土地について、警戒避難体制を特に整備すべき区域として指定できるものです。指定は土砂災害の発生原因ごとに、区域および自然現象の種類を定めて行われます。
警戒区域の指定がある場合、市町村地域防災計画には、区域ごとの情報収集・伝達、予報・警報の発令・伝達、避難、救助その他の警戒避難体制に関する事項を定めるものとされています。
したがって、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)の建築制限を説明する際は、区域指定のみを理由に土砂災害防止法上で一律の建築禁止となるわけではない点を押さえます。ただし、土砂災害防止法以外の法令、条例、都市計画上の規制などは、対象地と自治体ごとの確認が必要です。
重要事項説明書に向けた区域確認の手順
レッドゾーンで確認する開発行為と建築物の規制
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内では、予定建築物の用途が制限用途である特定開発行為をしようとする者は、原則としてあらかじめ都道府県知事の許可を受けなければなりません。制限用途には、自己居住用を除く住宅および、防災上特に配慮を要する者が利用する政令所定の社会福祉施設・学校・医療施設が含まれます。
特定開発行為の許可は、対策工事等の計画が、特定予定建築物における土砂災害防止に必要な政令の技術基準に従った措置を講じていることなどが認められるときに行われます。国土交通省は、重要事項説明における土砂災害防止法の主な法令制限として、土砂災害特別警戒区域内の特定開発行為の制限を掲げています。
また、レッドゾーン内の居室を有する建築物には、想定される土砂災害の自然現象による衝撃に対して安全となるよう、構造耐力基準が定められています。建築基準法施行令では、所定の土石等の高さ等以下の部分にある外壁および構造耐力上主要な部分の構造方法が定められています。一定の居室を有する建築物は建築確認等の対象となる仕組みです。
ミナさんインターネット上の地図で見たら区域らしき表示がありました。そのまま重説の根拠にしてよいのでしょうか。
タケさん国土数値情報の土砂災害警戒区域データは概略位置を示す参考図で、法的図書じゃないんだよ。宅地建物取引業法に基づく重要事項説明の根拠には使えないんだ。
リク区域を指定した都道府県等の所管機関が保有する資料で、位置、範囲、指定状況を確認するということですね。
よくある失敗は参考図だけで区域を断定すること
よくある失敗は、国土数値情報の参考図だけを見て、対象地が区域内である、または区域外であると断定することです。参考図は概略位置を示すものであり、重要事項説明の根拠には利用できません。
この失敗が起きるのは、地図上に区域表示があると、対象地との正確な関係まで確認できたように見えやすいためです。実際には、区域の位置・範囲・指定状況について、指定した都道府県等の所管機関が保有する資料を確認する必要があります。
土砂災害警戒区域等の指定・解除は随時行われ、国土数値情報に直ちに反映されるものではないと案内されています。対象地の区域図を用い、現在の指定状況を正確に説明することが重要です。
✅ 重要事項説明書の前に確認する区域チェックリスト
- 対象地の所在地を特定できているか
- 都道府県等の所管機関資料を確認したか
- 区域図で対象地の位置を照合したか
- 区域図で区域の範囲を確認したか
- 土砂災害警戒区域内か否かを確認したか
- 土砂災害特別警戒区域の指定状況を確認したか
- 参考図だけを説明の根拠にしていないか
区域名ではなく指定資料で説明を組み立てる
まとめると、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は危険の周知と警戒避難体制の整備に関わる区域であり、土砂災害防止法上の区域指定だけで一律の建築禁止となるものではありません。一方、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)には、特定開発行為の許可制度と、居室を有する建築物の構造規制があります。
実務者として押さえるべきは、土砂災害警戒区域内にあるか否かを重要事項として説明し、区域図で対象地の位置、区域の範囲、指定状況を正確に確認することです。参考図ではなく、都道府県等の所管機関が保有する指定資料を確認して説明を組み立てましょう。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: 国土交通省 / e-Gov法令検索 / 官公庁(nlftp.mlit.go.jp)
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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