空き家売却完全ガイド記事
📑 目次
空き家売却の完全ガイド|査定から決済までの流れ
空き家売却の全体像
空き家売却は、大きく分けて8つのステップで進みます。全体の流れを把握することで、スムーズな売却が可能になります。
事前準備(1週間〜1ヶ月)
書類の準備、権利関係の確認、相続手続きなど
査定依頼(1週間)
複数の不動産会社に査定を依頼し、価格を比較
媒介契約(1日)
不動産会社と契約を締結し、売却活動を開始
売却活動(1〜6ヶ月)
広告掲載、内覧対応、価格交渉など
売買契約(1日)
買主と売買契約を締結し、手付金を受領
引渡し準備(1〜2ヶ月)
残置物の処分、測量、境界確定など
決済・引渡し(1日)
残代金の受領、所有権移転登記、鍵の引渡し
確定申告(翌年2〜3月)
譲渡所得税の申告・納税
📅 売却にかかる期間
空き家の売却には、平均3〜6ヶ月かかります。立地が良い物件は1〜2ヶ月で売れることもありますが、地方の物件や再建築不可物件は1年以上かかる場合もあります。
ステップ1:事前準備
売却をスムーズに進めるには、事前準備が最も重要です。必要な書類を揃え、権利関係を確認しましょう。
必要書類のチェックリスト
所有権を証明する書類。紛失した場合は司法書士に相談
法務局で取得(600円)。オンラインでも取得可能
固定資産税評価額が分かる。毎年4〜6月頃に郵送される
建築時の図面。紛失した場合は再測量が必要な場合も
建物が適法に建てられたことの証明
売主本人確認用。印鑑証明書は発行から3ヶ月以内
戸籍謄本、遺産分割協議書、相続登記済証明書など
⚠️ 相続登記が済んでいない場合
相続した空き家を売却する場合、まず相続登記(名義変更)が必須です。令和6年(2024年)4月から相続登記が義務化され、相続開始から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記の費用:司法書士報酬5万円〜15万円+登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)
権利関係の確認
売却前に、以下の権利関係を必ず確認しましょう。
- 抵当権の有無:住宅ローンが残っている場合、売却代金で完済できるか確認
- 共有者の有無:共有名義の場合、全員の同意が必要
- 借地権・地上権:土地が借地の場合、地主の承諾が必要
- 賃借人の有無:賃貸中の場合、立退き交渉が必要な場合も
ステップ2:査定依頼
書類が揃ったら、複数の不動産会社に査定を依頼します。査定には「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
簡易査定(机上査定)
- 方法:物件情報をもとに、過去の取引事例や相場から概算価格を算出
- 期間:即日〜3日程度
- メリット:手軽で時間がかからない
- デメリット:精度が低い。実際の売却価格と乖離する可能性
訪問査定(詳細査定)
- 方法:不動産会社の担当者が現地を訪問し、建物の状態、周辺環境を確認して査定
- 期間:1週間程度
- メリット:精度が高い。具体的な売却戦略も提案してもらえる
- デメリット:立会いが必要で時間がかかる
✅ 査定は必ず複数社に依頼
最低3社、できれば5社以上に査定を依頼しましょう。査定額は会社によって数百万円単位で異なることがあります。
一括査定サイトを利用すれば、一度の入力で複数社に依頼できて便利です。
査定額の見方
査定額を見る際は、以下のポイントに注意しましょう。
⚠️ 高い査定額=良い不動産会社ではない
一部の不動産会社は、媒介契約を取るために高い査定額を提示することがあります。しかし、その価格で売れなければ意味がありません。
重要なのは、「なぜその価格なのか」の根拠が明確かどうかです。以下を確認しましょう:
- 過去の類似物件の取引事例
- 周辺の相場データ
- 建物の状態を踏まえた評価
- 売却戦略の具体性
ステップ3:媒介契約
査定結果を比較し、信頼できる不動産会社を選んだら、媒介契約を締結します。媒介契約には3つの種類があります。
| 項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | 不可 | 不可 | 可能 |
| 自己発見取引 | 不可 | 可能 | 可能 |
| レインズ登録 | 5営業日以内(義務) | 7営業日以内(義務) | 任意 |
| 業務報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 義務なし |
| 契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 制限なし |
| メリット | 積極的な販売活動 | バランスが良い | 幅広く買主を探せる |
| 向いている物件 | 売りにくい物件 | 一般的な物件 | 人気物件 |
💡 どの契約を選ぶべきか
迷ったら「専任媒介契約」がおすすめです。
- 専属専任媒介:不動産会社が積極的に動いてくれるが、自分で買主を見つけた場合も仲介手数料が発生
- 専任媒介:バランスが良く、自己発見取引も可能
- 一般媒介:複数社に依頼できるが、各社の販売意欲が下がる可能性
ステップ4:売却活動
媒介契約を締結したら、いよいよ売却活動がスタートします。
主な販売活動
- 不動産ポータルサイトへの掲載 - SUUMO、HOME'S、at homeなど
- レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録 - 全国の不動産会社が閲覧可能
- チラシ配布 - 近隣住民への周知
- 自社HPでの紹介
- 既存顧客への紹介
内覧対応
購入希望者が現れたら、内覧(物件の見学)を行います。
✅ 内覧前の準備
- 清掃:できる限りきれいにする。特に玄関、水回り、窓
- 換気:湿気やカビ臭を取り除く
- 電気・水道の開通:内覧時に使えるようにする
- 庭の手入れ:雑草を刈る、ゴミを撤去
- 明るく見せる:カーテンを開け、照明をつける
価格交渉
購入希望者から値下げ交渉が入ることは珍しくありません。
- 最初から値下げ余地を見込んで、売出価格を相場の5〜10%高めに設定する戦略も
- ただし高すぎると問い合わせが来ないため、バランスが重要
- 不動産会社と相談しながら、どこまで値下げできるかを事前に決めておく
⚠️ 売れない場合の対策
3ヶ月経っても売れない場合、以下の対策を検討しましょう:
- 価格の見直し:相場より高すぎないか再検討
- 広告の見直し:写真や説明文を改善
- リフォーム:最低限のリフォームで印象改善
- 不動産会社の変更:専任媒介は3ヶ月で更新。他社に変更も検討
- 買取業者への売却:仲介より安いが確実に売れる
ステップ5:売買契約
買主が決まったら、売買契約を締結します。
契約当日の流れ
① 重要事項説明(30分〜1時間)
不動産会社(宅地建物取引士)が、買主に物件の詳細を説明します。売主は同席するのが一般的です。
② 売買契約書の読み合わせ(30分)
契約書の内容を確認します。不明点があれば必ず質問しましょう。
③ 売買契約書への署名・押印(10分)
売主・買主が契約書に署名・押印します。
④ 手付金の受領(10分)
買主から手付金(売買代金の5〜10%)を受け取ります。
⑤ 仲介手数料の半金支払い(10分)
不動産会社に仲介手数料の半分を支払います。
📄 契約時に必要なもの
- 実印
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 身分証明書
- 登記済権利証(または登記識別情報通知)
- 固定資産税納税通知書
- 仲介手数料の半金
- 収入印紙代(売買契約書に貼付)
ステップ6:引渡し準備
契約から決済・引渡しまでの間(通常1〜2ヶ月)に、以下の準備を行います。
① 残置物の処分
建物内の家財、ゴミなどをすべて撤去します。
- 費用:10万円〜50万円(量による)
- 業者:遺品整理業者、廃品回収業者
- 注意:契約書で「残置物あり」として売却する場合もある(その場合は価格が下がる)
② 測量・境界確定(必要な場合)
土地の境界が不明確な場合、測量を行います。
- 費用:30万円〜60万円
- 期間:1〜2ヶ月
- 業者:土地家屋調査士
③ 建物解体(必要な場合)
更地にして売却する場合、建物を解体します。
- 費用:100万円〜300万円(規模による)
- 期間:2週間〜1ヶ月
- 注意:解体後は固定資産税の住宅用地特例が適用されず、税金が上がる
④ 住宅ローンの完済(抵当権がある場合)
住宅ローンが残っている場合、売却代金で完済し、抵当権を抹消します。
- 費用:抵当権抹消登記費用2万円〜5万円(司法書士報酬含む)
- 注意:売却代金でローンを完済できない場合、自己資金が必要
ステップ7:決済・引渡し
引渡し準備が整ったら、決済・引渡しを行います。通常、銀行で行われます。
決済当日の流れ
① 書類の確認(15分)
登記関係書類、鍵、引渡し関係書類を確認します。
② 残代金の受領(30分)
買主から残代金(売買代金-手付金)を受け取ります。通常、銀行振込で行われます。
③ 固定資産税等の精算(10分)
固定資産税・都市計画税を日割り計算で精算します。
④ 諸費用の支払い(20分)
仲介手数料の残金、司法書士報酬などを支払います。
⑤ 所有権移転登記(司法書士が代行)
司法書士が法務局で所有権移転登記を申請します。
⑥ 鍵の引渡し(5分)
建物の鍵をすべて買主に引き渡します。これで売却完了です!
📄 決済時に必要なもの
- 実印
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 身分証明書
- 登記済権利証(または登記識別情報通知)
- 固定資産税納税通知書
- 建物の鍵
- 銀行口座(振込先)
ステップ8:確定申告
空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。
譲渡所得税の計算
譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
- 取得費:購入価格、建築費用、購入時の諸費用など(不明な場合は売却価格の5%)
- 譲渡費用:仲介手数料、測量費、解体費など
譲渡所得税率は、所有期間によって異なります。
| 所有期間 | 区分 | 税率 |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63%(所得税30.63% + 住民税9%) |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315%(所得税15.315% + 住民税5%) |
✅ 空き家の3,000万円特別控除
一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
主な要件:
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物
- 相続してから3年を経過する年の12月31日までに売却
- 売却価格が1億円以下
- 耐震基準を満たす、または解体して更地にして売却
この特例を使えば、多くのケースで譲渡所得税が0円になります!
空き家売却にかかる費用
空き家売却には、様々な費用がかかります。事前に把握しておきましょう。
① 仲介手数料(必須)
計算式:(売却価格 × 3% + 6万円)× 消費税
例:2,000万円で売却 → 仲介手数料は72.6万円
支払時期:契約時に半金、決済時に半金
② 印紙税(必須)
売買契約書に貼付する収入印紙の費用
例:売買価格2,000万円 → 印紙税1万円
③ 登記費用(抵当権がある場合)
抵当権抹消登記:2万円〜5万円(司法書士報酬含む)
相続登記(未登記の場合):5万円〜15万円
④ 残置物処分費用(必要な場合)
費用:10万円〜50万円
量が多い場合や特殊な廃棄物がある場合は、さらに高額になることも
⑤ 測量費用(必要な場合)
費用:30万円〜60万円
境界が不明確な場合に必要。隣地所有者との立会いも必要
⑥ 解体費用(更地にする場合)
費用:100万円〜300万円
建物の規模、構造、立地によって大きく異なる
⑦ 譲渡所得税(利益が出た場合)
税率:所有期間5年以下は39.63%、5年超は20.315%
3,000万円特別控除を使えば、多くのケースで0円
💰 費用の目安(売却価格2,000万円の場合)
- 仲介手数料:72.6万円
- 印紙税:1万円
- 登記費用:5万円
- 残置物処分:30万円
- 測量:50万円
- 合計:約160万円
解体する場合は、さらに100〜300万円が必要です。
空き家を高く売るコツ
① 複数社に査定を依頼する
前述の通り、最低3社以上に査定を依頼しましょう。査定額が最も高い会社ではなく、根拠が明確で信頼できる会社を選ぶことが重要です。
② 最低限のリフォームで印象改善
大規模なリフォームは不要ですが、最低限の清掃や修繕で印象が大きく変わります。
- ハウスクリーニング(5〜10万円)
- 庭の手入れ(3〜5万円)
- 壁紙の一部張替え(5〜10万円)
③ 売却時期を選ぶ
不動産は春(2〜3月)と秋(9〜10月)が売れやすい時期です。転勤や転職の多い時期で、需要が高まります。
④ 境界を確定しておく
境界が不明確だと買主が不安を感じます。事前に測量・境界確定を済ませておくと、安心感が増し、高値で売れやすくなります。
⑤ 空き家の特別控除を活用
相続した空き家なら、3,000万円特別控除を活用できます。税金がゼロになれば、手取り額が大幅に増えます。
まとめ
空き家売却は、事前準備から確定申告まで8つのステップで進みます。全体の流れを把握し、必要な書類や費用を事前に準備することで、スムーズな売却が可能になります。
📌 重要ポイントのまとめ
- 売却には平均3〜6ヶ月かかる
- 相続登記が済んでいない場合は、まず登記が必須
- 査定は最低3社以上に依頼する
- 媒介契約は専任媒介契約がおすすめ
- 売却費用は売却価格の5〜10%が目安(仲介手数料、諸費用含む)
- 空き家の3,000万円特別控除を活用すれば、譲渡所得税がゼロに
- 高く売るには、複数社比較、最低限のリフォーム、境界確定が重要
- 確定申告は翌年2月16日〜3月15日
空き家売却は複雑に見えますが、信頼できる不動産会社と専門家のサポートがあれば、安心して進められます。まずは無料査定から始めてみましょう!
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❓ よくある質問(FAQ)
空き家を売却する際に必要な書類は何ですか?
空き家を売却する際には、以下の書類が必要です:
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 建物の図面や測量図
- 身分証明書
査定にはどのくらいの時間がかかりますか?
通常、現地調査を含めて1〜3営業日で査定結果をご報告いたします。お急ぎの場合は、最短即日での査定も可能です。