固定資産税の住宅用地特例と空き家への影響を整理する
住宅用地特例は小規模住宅用地で課税標準を6分の1、一般住宅用地で3分の1とする制度です。改正空家法では管理不全空家等への勧告でも特例が外れるため、実務上押さえておきたい基本を整理します。
📑 目次
スタッフ社長、お客さんから『空き家を放っておくと固定資産税が上がるって本当ですか?』ってよく聞かれるんですけど、これってどういう仕組みなんですか?
スタッフ実務でも『管理不全空家』って言葉が出てくるようになりましたよね。特定空家とは別物なんでしたっけ?
社長ええとこ突くな。令和5年の空家法改正で『管理不全空家等』っていう新しい区分ができたんや。今日はそこと固定資産税の住宅用地特例を整理していこか。
そもそも住宅用地特例とは
固定資産税の住宅用地特例は、地方税法第349条の3の2に定められた、住宅が建っている土地の課税標準を軽減する仕組みです。
具体的には、200平方メートル以下の小規模住宅用地については課税標準が価格の6分の1、一般の住宅用地については価格の3分の1とされています。
つまり住宅が建っている土地は、税負担が大きく抑えられている状態にあるということです。空き家問題を税の観点から理解するには、まずこの特例の存在を押さえておく必要があります。
住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例
| 区分 | 課税標準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200平方メートル以下) | 価格の6分の1 | 地方税法第349条の3の2第2項 |
| 一般の住宅用地 | 価格の3分の1 | 地方税法第349条の3の2 |
スタッフなるほど、住宅が建ってる土地は税金が安くなってるんですね。じゃあ『管理不全空家』ってそもそも何なんですか?
社長管理不全空家等は空家法第13条第1項の定義でな、適切な管理が行われていないことで、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家のことや。
スタッフその『特定空家』のほうとは、どこが違うんですか?
社長特定空家等は法第2条第2項でな、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれ、著しく衛生上有害となるおそれ、著しく景観を損なっている状態なんかが認められる空家や。つまり、もう深刻になってる段階。管理不全空家は『このままやと特定空家になりそう』という一歩手前やな。
スタッフあ、予備軍みたいなイメージなんですね!
管理不全空家等の新設と施行
管理不全空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)により新設された区分で、令和5年(2023年)12月13日に施行されました。
あわせて、管理不全空家等及び特定空家等に対する措置の判断の参考となる基準などを示すガイドラインも、令和5年12月13日に最終改正されています。
この改正により、これまで『特定空家』にならないと手を打てなかった段階より前から、行政が関与できるようになったのが大きなポイントです。
スタッフ手続き的にはどう進むんですか? 指定されたら所有者は何をされるんでしょう。
社長まず市町村長が、管理不全空家等の所有者等に対して、管理指針に即して特定空家等に該当することを防止するために必要な措置をとるよう『指導』できる。これが法第13条第1項や。
スタッフ指導しても直さなかったら?
社長指導してもなお改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれが大きいと認めるときは、修繕や立木竹の伐採その他必要な具体的措置について『勧告』ができる。これが法第13条第2項やな。
スタッフその勧告が、税金に効いてくるんですね…?
社長そうや。勧告を受けた管理不全空家等は、特定空家等と同様に、その敷地に係る固定資産税等の住宅用地特例の適用を受けられなくなるんや。
管理不全空家等への措置の流れ
スタッフ特例が外れたら税金、けっこう上がっちゃうんじゃないですか?
社長負担が増える方向なのは確かやけど、何倍になるかは敷地の面積なんかで変わるから、ここで一律の倍率は言わへん。具体的な金額影響は所管省庁や税の専門家に確認してもらうのが正解やな。
スタッフあと、勧告されたあとに状態がもっと悪くなって、本物の特定空家になったらどうなるんですか?
社長勧告後に悪化して特定空家等に該当することになっても、勧告が撤回されない限り、住宅用地特例の対象から除外された状態は続くで。一度外れたら自動で戻るわけやない。
スタッフそう考えると、早めに動いたほうが得ですね。
スタッフ罰則ってあるんですか? 管理不全空家のままだと過料とか取られます?
社長そこは整理しとこ。管理不全空家等への措置は指導・勧告にとどまっていて、命令や行政代執行みたいな強い公権力の行使は規定されてへん。命令・代執行は特定空家等への措置として法第22条の話や。
スタッフじゃあ特定空家のほうには罰則があるんですか?
社長特定空家等に対しては助言・指導、勧告、命令、代執行が法第22条各項に規定されていて、命令違反等には罰則の対象となり得る。具体的な額は当該法令を確認してもらうとして、性質としてはそういう段階があるってことや。
スタッフ段階が上がるほど重くなる、という構造なんですね。
所有者の責務(努力義務)
空家等の所有者又は管理者(所有者等)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとされています(法第3条)。
さらに改正により、所有者等は適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家施策に協力するよう努めることが求められています。
これらは努力義務として位置づけられるものですが、放置が進めば指導・勧告、そして住宅用地特例の解除という現実的な不利益につながり得ます。
まとめ:実務者として押さえるべき要点
まとめると、固定資産税の住宅用地特例は、小規模住宅用地で価格の6分の1、一般の住宅用地で価格の3分の1という大きな軽減です(地方税法第349条の3の2)。住宅が建つ土地はこの恩恵を受けている、という前提をまず押さえます。
令和5年法律第50号により令和5年12月13日に施行された『管理不全空家等』は、適切な管理がされず、放置すれば特定空家等に該当するおそれのある一歩手前の状態を指します(空家法第13条第1項)。これに対しては市町村長が指導でき、改善されなければ勧告ができます(同条第1項・第2項)。
実務上もっとも重いのは、勧告を受けると特定空家等と同様にその敷地の住宅用地特例が適用されなくなる点です。しかも勧告後に状態が悪化して特定空家等に至っても、勧告が撤回されない限り除外状態は継続します。
管理不全空家等の措置は指導・勧告にとどまり、命令・代執行や罰則は特定空家等への措置(法第22条)の段階の話です。所有者には適切な管理に努める責務(法第3条)があり、お客さんには『勧告される前に手を打つこと』『税額影響の詳細は所管省庁・専門家に確認すること』を案内するのが実務者としての押さえどころです。
出典: 国土交通省 / 官公庁(kkr.mlit.go.jp) / 衆議院 / e-Gov法令検索 / 官公庁(gov-online.go.jp) / 環境省 / 自治体(city.akita.lg.jp) / city.takarazuka.hyogo.jp / 大阪市